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COLUMN コラム

2024.1.10

大規模・中規模・小規模で変わる! 施設規模別に考える健診システムの選び方

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iD-Heartコラム担当

医療情報技師、マーケティング担当が執筆します。

健診システムとひとまとめにしていわれることが多いですが、施設の規模によって選定上の要件が異なります。
本コラムでは健診を行う規模別と要件を挙げ、それぞれにあったシステムの選び方について解説します。

システムは規模によって選びましょう

一般企業でシステムを選ぶ際、同じ名称のシステムでも企業規模によって構成や価格が異なります。
たとえば、生産管理システムでも生産ラインを持つ大規模工場と個別受注生産を行う小規模工場では管理方法が違います。
それぞれの管理に必要とされる機能が選定上の要件となるため、大規模工場ではフルスクラッチ(完全オリジナル)となることが多いです。
一方、小規模工場では個別受注生産に特化したパッケージシステムが提供されています。

病院で利用される電子カルテも、大病院で使われるシステムとクリニックのものでは異なります。
大病院では診療録を残すだけでなく、入院(看護)管理やリハビリ状況など、多くの情報を管理しなければなりません。
無床クリニックでは入院情報を持たず、電子カルテも診療録と処方の管理機能が主となっています。

大規模システムは機能を多く持つ反面、システム自体が高価であり、小規模な施設での導入は現実的ではありません。
それぞれの業務内容にあった機能(性能)と費用感を持つことがポイントとなっています。

健診部門でのシステムの選び方を考える

健診部門でシステムを選ぶ際に大事なこと、それは健診件数です。
実施可能な健診数によって施設の規模が異なります。
多くの健診を受け入れるためには、働くスタッフの数も多くなければいけません。
大規模施設では結果報告書を作成する機能だけでなく、さまざまな業務のサポートが求められます。
小規模施設では医療情報の共有が多くなるため、各種システムとの連携が必要です。

業務範囲の違いや必要とされる機能を比較し、施設規模別に健診システムの選び方を解説します。

健診施設の規模の定義

本コラムでは「医療機関」ではなく、「健診施設」と定義します。
健康診断業務自体は医療行為ですから医療機関で行われますが、健診を行う施設は、大規模に健診を行う「予防医療に特化した施設」と、病院のように「治療を主体にした施設の部門」が存在します。

健診施設を大規模、中規模、小規模に分類し、規模ごとの特徴を挙げて考えていきましょう。

健診規模分類

巡回健診にも力をいれる大規模な健診施設

施設イメージ:巡回健診を主体に行う「健康管理センター」
健診件数イメージ:50,000件〜w600健診専門胸部や胃部のX線検査を行う健診車(レントゲン車)や超音波検査などが行える車両を複数台所有しています。
企業の事業所(工場など)で1日に多数の健診を行う「集団健診」(巡回健診)が主体です。
その他、人間ドックを主に行うセンター(健診専門クリニック)を併設している場合もあります。
複数台の健診車を管理する必要性から、郊外型の施設ともいえます。
診療(治療)にも対応していますが、診察科の多くは内科関連であるため、投薬が中心であり、外科的な治療には対応されません。
集団予防接種などの自費診療に対応されているケースもあります。

一般的には、巡回健診で多くの受診者をいかに短時間で応対できるかがポイントです。

サービスの充実した所内健診を行う中規模な健診施設

施設イメージ:病院併設の「健診専門センター」、都市部の健診専門クリニック
健診件数イメージ:10,000件〜w600病院(別棟)受診者は来院し、院内(所内)で完結します。
健診車を有し、巡回健診を行っている施設もありますが、健診車台数や巡回健診件数は多くありません。
X線検査などを健診センター独自に保有している他、MRIなども利用して脳ドックなどの特別なコースも提供されます。
高額な人間ドック(宿泊ドック)などのメニューも豊富です。
内視鏡の検査センターやCT、MRIなどのモダリティが独自に用意されているケースも多くあります。
病院とは別棟に設置されたりして外来(患者)とは導線が異なり、遭遇しません。

大規模と同様に多くの受診者に対応しますが、所内で行う分、快適に過ごせるといわれます。

かかりつけ医としての機能も果たす小規模な健診施設

施設イメージ:病院併設の「健診部門」
健診件数イメージ:〜10,000件
w600小規模中規模と似ていますが、部門独自にモダリティは持たず、院内の診断に使用する機器を兼用する点が異なります。
院内では診療への対応が優先されるため、健診に伴う検査件数が限られます。
とくに検査に時間のかかる内視鏡などは検査可能日が決まっているケースも見られます。
部門が「健診センター」と称される場合でも、中規模施設と比べ、部門自体は待合と事務部門が主体です。
専用の更衣室と待合、身体計測などの測定機器のみ、健診部門に設置されている施設も多いです。
院内で移動が必要な場合、診療を待つ外来や入院患者の側で検査を待つケースがあります。

精密検査など対応が充実し、地域のかかりつけ医として健診後のアフターフォローが充実し、継続して通院しやすいといえます。

ソフトウェアの機能だけでは選べない

システム導入検討を行われる際、RFPを作られるケースが多くあります。
 RFP:Request For Proposal=提案依頼書
発注側(医療機関)が発注先企業(システムベンダ)に対して提示する、自施設の要件や要望を示した書類のことを指します。
情報システムの導入やシステム開発を行う場面で、具体的な提案を依頼する目的で用いられます。

しかし、実際にはソフトウェアとしての機能要件だけを述べられて、データ処理量などが考慮されていないものもありました。
具体的な提案を依頼する場合、健診業務でどれくらいのデータ処理が必要かを考える必要があります。
とくに大/中規模施設では処理件数、求められるスピードなどによるハードウェア関連の設計も重要です。
前提となる情報
 年間の健診件数
 1日の最大健診件数
 データ取り込み量(1日全量、時間当たり)
 印刷枚数(1日全量、時間当たり)
 必要端末数
 システムを利用するスタッフ数

発注側は運用想定を細かく行う必要があるので、システム全体を俯瞰的に評価できる外部のIT専門家に相談されることもオススメです。

大規模施設で求められる要件

・請求に関する契約情報の管理
・健診結果報告書を作成するプロセス
・当日受診IDでの運用
・計測結果の大量処理(OCRが多い)
・画像診断レポートとの連携
・配車管理
・出張人員管理

健診システムには請求情報などの管理機能を持つものが多くありますが、請求先が多いことから別に販売管理システムを導入して管理しているケースも多くあります。
この場合、契約情報(コースなどの内容などを含む)は健診システムで管理し、売上等は販売管理システムで管理します。
健診業務以外の機能として求められるのが、健診バスの配車状況や出張人員の配置管理です。
これらは標準的な管理方法が無いため、施設ごとに要件を定義し、開発されます。
計測等の結果はOCR用紙に記入し、事務所へ戻ってから取り込む運用が多く見られます。


OCRスキャナを利用した情報取り込みの例(汎用スキャナを利用)

1日に多くのデータ処理を行うことから、とくに結果の取り込み、自動処理、印刷処理などがサーバーとトラフィックに大きな負荷をかけます。
オンプレミスサーバーでの運用が望ましく、機能により分散させるなど専門家による設計も必須です。

中規模施設で求められる要件

・請求に関する契約情報の管理
・健診結果報告書を作成するプロセス
・健診専用IDでの運用
・問診票転記作業の低減(OCR、独自のWebシステム)
・エスコート機能(空き検査へ案内)
・計測結果の自動取り込み処理
・検体検査システムとの連携(検体検査結果)
・画像診断レポートとの連携
・電子カルテシステムとの連携

所内健診の中でも人間ドックの割合が多いという特徴を持ちます。
多くのデータ処理を行うため、大規模施設のようにハードウェア環境にも留意する必要があります。
医療法人の会計システムとの連携を行うために、販売管理システムが導入している施設も多いです。
当日の計測結果などはバーコードやRFID方式の個人認証の仕組みを利用し、計測結果がすぐにサーバーに登録されるソフトウェアを要望される施設も多いです。
これらの施設では、空いている検査場所(計測機器や採血・検査)を案内するエスコート機能の提供も求められます。

大規模施設と同様に1日に多くのデータ処理を行うことから、サーバーの高スペック化だけでなく、処理分散を設計する必要があります。
印刷枚数も多くなる傾向にあるため、専用プリンタでの運用が理想的です。

小規模施設のシステム要件

・請求に関する契約情報の管理
・健診結果報告書を作成するプロセス
・患者ID(診察券番号)での運用
・問診票転記作業の低減(OCRが多い)
・計測結果の自動取り込み処理
・医事システムとの連携(受診者情報)
・オーダリングシステムとの連携(検査予約)
・検体検査システムとの連携(検体検査結果)
・画像診断レポートとの連携
・電子カルテシステムとの連携

健診システムの持つ基本機能(契約の管理や各種印刷)で管理可能です。
そのため、パッケージソフトウェア(パッケージ型)のシステムが適しているといえます。
売上集計等は部門からの書類(データ)で病院事務部門へ報告されるケースが多いです。
健診業務の処理速度よりも、電子カルテ等の院内システムとの連携を重要視されています。

山田メディカルクリニック山田メディカルクリニック様 ユーザー事例

受診者には必ず「患者ID」が付与され、結果報告書内容が電子カルテから参照できるようになります。
画像検査のデータも同様に管理されるため、健診結果が精密検査以降の治療にも役立てられています。
大量かつ高速な処理を必要としない施設ではクラウド対応型のシステムを検討される機会も増えました。

小規模施設に適したパッケージソフトウェア

小規模施設には、パッケージソフトウェアの健診システムが適しています。
健診業務のワークフローは施設ごとに大きな違いはありません。

総合健診支援システム『iD-Heart』を利用した健診業務のワークフロー

結果報告書の作成、団体との契約管理、請求、二次検査の管理などの機能が搭載されていれば、運用上、不足しているものはありません。
さらに業務進捗の管理などがあれば、小規模施設での健診業務は効率向上を図れます。
パッケージソフトウェアであれば、初期投資を抑えながら早期立ち上げが実現します。
仕様が統一されていることで、法改正や制度改正にも安価に対応可能です運用費も抑えられます。

システムの選び方

健診件数の多い施設では大量のデータを処理するため、オンプレミスサーバーでの運用が望ましいといえます。
結果報告書を作るソフトウェア部分以外にも必要とされる項目があるため、管理したい項目を挙げておいてください。
データ処理の種類によってサーバーを設けるなどして、速度低下しない安全なシステムを構築できるベンダーと作り上げていきましょう。

一方、小規模施設では健診システムの基本機能でほとんどの業務をカバーできます。
したがって、できるだけパッケージで利用できるもの、特殊なカスタマイズをしなくても自施設の運用に耐えられるものを選定してください。
法改定など改修の必要なケースであっても、パッケージシステムであれば、その対応費用は最低限に抑えられます。

どれくらいの規模で導入すればいいのか、どのように運用を考えればいいのか、ご不安な施設様はぜひテクノアにご相談ください。

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