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COLUMN コラム

2026.3.3

人間ドックの"質"、どう測っていますか?|第三者評価が示す、自院の現在地の確かめ方

人間ドックの

この記事の著者

iD-Heartコラム執筆者

テクノア ブランディング戦略室

テクノアのITコーディネータ、マーケティング担当が執筆します。
専門分野: 画像診断装置やPACSなどの放射線関連機器、診療所向け電子カルテなどの医療システム構築に20年以上従事した経験を持つ。健診業務関係の経験も長く、医療機関向けの健診マーケティング支援なども行う。

「うちの人間ドックは、きちんとやっている」
そう感じている施設は多いはずです。

スタッフは毎日丁寧に対応している。
医師はしっかり結果を説明している。
受診者からのクレームも特にない。
——それでも、受診者に適切なサービスを提供できているか、
改めて自院で確認する機会を持っていますか?

「問題が起きていないから大丈夫」は、セルフチェックとは異なります。
日常業務の忙しさの中で、気づかないまま「できているつもり」に
なっている部分は、どの施設にも存在します。
特に少人数で運営している施設では、
個々のスタッフの経験と勘に支えられた実践が多くあります。
それ自体は財産である一方、
「個人の経験」が「施設の仕組み」として整っているかは、
また別の問いです。

この記事では、日本人間ドック・予防医療学会が運営する
「健診施設機能評価」の評価項目を"ものさし"として活用し、
自院の運営を客観的にセルフチェックするための視点をご紹介します。

健診施設機能評価とは

健診施設機能評価は、人間ドックを実施する施設を対象に、 第三者の視点で運営の質を評価する制度です。公益社団法人 日本人間ドック・予防医療学会が運営し、書面調査と訪問調査 (サーベイヤーによる現地確認)の二段階で審査が行われます。 認定証の有効期間は5年で、更新には再審査が必要です。

最新版はVer.5.0(2024年〜)。 「ハラスメント対策」「遠隔読影」「特定保健指導体制」など、 時代の変化を反映した項目が新設されています。

ただし、この記事の目的は認定取得の案内ではありません。

評価項目には、人間ドックの運営において 「本来あるべき姿」が体系的に整理されています。 認定を受けるかどうかに関わらず、この項目群を 自院へのセルフチェックリストとして活用することに、 大きな価値があります。

3つの領域で自院をセルフチェックする

評価は3つの領域で構成されています。 それぞれの領域で、自院に問いかけてみてください。

① 第1領域:理念・組織・管理体制

「見えない土台」が言葉と仕組みになっているか

  • 施設の理念や方針を、スタッフ全員が同じ言葉で語れますか?

  • 中長期計画と年度目標は、文書として存在していますか?

  • 医療安全・感染対策・個人情報保護のマニュアルは、定期的に見直されていますか?

小規模施設でよくあるのは、「院長の頭の中にはある」状態です。 評価項目はそれを文書化・共有・更新する仕組みがあるかを問います。 属人的な運営から脱するための第一歩が、ここに詰まっています。

② 第2領域:検査精度・結果説明・保健指導・フォローアップ

「やっているつもり」を数値で確認できるか

この領域には、具体的な認定基準値が設けられています。

項目 認定基準
医師による結果説明実施率 70%以上
保健指導実施率 30%以上(初回受審除く)
精密検査指示率 15%未満
精密検査受診率 65%以上

※ 上記数値はすべて「健診施設機能評価 Ver.5.0 自己評価」 (日本人間ドック・予防医療学会/日本人間ドック健診協会)に 明示された認定基準値です。 詳細は URL をご参照ください。

  • 結果説明の実施率を、数値として把握していますか?

  • 保健指導の対象者と実施状況を、記録として残していますか?

  • 精密検査を指示した受診者が、実際に受診したかを追えていますか?

「毎回きちんとやっている」という感覚と、記録に基づく実績は異なります。 記録がなければ、実態は確認できません。 この領域のセルフチェックは、日常業務の記録体制を見直す機会でもあります。

③ 第3領域:改善活動・情報提供・地域連携

「受診者との関係」が健診当日で終わっていないか

  • 受診者からの意見や要望を収集し、業務改善につなげる仕組みがありますか?

  • 健診結果データを、保険者や事業所に提供する体制がありますか?

  • 地域の健康経営・データヘルス計画に、施設として関与していますか?

健診は受診した日で終わりではありません。 受診者の健康を継続的に支える関わりができているか。 それが、施設が地域に果たす役割の大きさを決めます。

小規模施設だからこそ、気づける視点がある

「大きな病院みたいに専任スタッフも揃っていないし、 システムも十分じゃない。うちには難しい話かもしれない」
そう感じる方もいるかもしれません。
しかし、小規模施設には大規模施設には真似できない、 本質的な強みがあります。それは「顔の見える健診」です。

医師が時間をかけて、一人ひとりの受診者と向き合える。 スタッフが受診者の名前と状況を覚えていて、次の来訪時に声をかけられる。 検査後の不安な時期にも、身近な存在として継続的に関わることができる。
これらは、規模を追い求めても得られない価値です。 受診者にとって、健診施設が「また来たいと思える場所」であることは、 どんな設備よりも大切なことかもしれません。

セルフチェックの意義は、この強みを 個人の努力から、施設の仕組みへと整えることにあります。 仕組みとして整った強みは、スタッフが変わっても、繁忙期でも、継続できます。 そして、それが積み重なるほど、施設への信頼は深まっていきます。

記録・管理・フォローアップを支える仕組みとして

セルフチェックを通じて見えてくる課題の多くは、 日常業務の中での記録と管理に集約されます。 結果説明の実施率、保健指導の対象者管理、 精密検査後のフォローアップ追跡——。 これらをデータとして継続的に把握できる環境があってはじめて、 自院の現在地が見えてきます。

総合健診支援システム『iD-Heart(アイディ・ハート)』は、こうした健診業務の記録・管理・分析を 一元的に支援する総合健診支援システムです。 予約管理から結果報告書作成、各種統計・集計まで対応し、 機能評価項目が求める「実績の可視化」を日常業務の中で実現します。

まとめ

健診施設機能評価の評価項目は、 「良質な人間ドックとはどういうものか」を体系的に整理した設計図です。

認定を取ることが目的でなくても、 この設計図と自院を照らし合わせることで、 見えていなかった課題や、改めて確認できる強みが 浮かび上がってきます。

「なんとなくできている」から 「確認して、整えて、続けられる」へ。 その一歩のきっかけとして、 ぜひこの視点を活用してみてください。

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