この記事の著者
T.A.|ITコーディネータ(テクノア ブランディング戦略室)認定者番号 9058472025C
医療ITを専門としながら、製造業・ECサイトまでWebマーケティングを軸に多業種のシステム支援に携わってきたITコーディネータ。制度と現場の両面から医療機関の課題解決を支援しています。
※本記事は、生成AIを編集の補助として活用し、内容の企画・編集・事実確認は筆者が行っています。
2026年10月1日、社会保険診療報酬支払基金(以下、支払基金)は
「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」
に名前を変えました。略称は「DX審査支払機構」です。
前編では、支払基金の名前が変わった背景にある「医療法等の一部を改正する法律」を確認しました。名称変更は、3つの柱のうち「医療DXの推進」に含まれる見直しでした。
支払基金はなぜ名前を変えたのか|医療法等改正をあらためて読む【前編】
後編のテーマは、もう一つの変化である「役割」です。支払基金は、これまで何を担ってきたのか。DX審査支払機構はこれから、何が求められるのか。比べながら、医療機関や健診機関とのつながりも見ていきます。
💡このコラムでわかること
☑️1948年の創設から、支払基金が担ってきた役割
☑️DX審査支払機構への改組で加わった役割と、意思決定のしくみの変化
☑️医療機関・健診機関で必要な再セットアップと、その期限
これまでの役割:審査と支払い
支払基金が業務を始めたのは、1948年(昭和23年)9月です。
仕事の中心は、診療報酬の審査と支払いです。医療機関から届いた請求を審査し、保険者ごとにまとめて請求します。そのうえで、医療機関に支払います。創設以来、この流れを一手に担ってきました。
その後、制度が広がるにつれて、仕事の範囲も広がっていきます。
| 年 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1948年 | 診療報酬の審査・支払業務を開始 |
| 2000年 | 介護保険関係の業務を開始 |
| 2006年 | 医療機関などからのオンライン請求を開始 |
| 2008年 | 特定健診等の費用の決済を代行する業務を開始 |
| 2021年 | オンライン資格確認の本格運用を開始 |
| 2023年 | 電子処方箋管理サービスの運用を開始 |
健診との関わりが始まったのは、2008年です。
特定健診のスタートと同時に、特定健診等の費用の決済を代行するようになりました。健診機関が使う「特定健診・保健指導システム」も、支払基金が運用してきたものです。
新たに求められる役割:医療DXの母体
改組(組織のしくみの見直し)によって、機構は審査と支払いに加えて、国の医療DX施策を進める中心になりました。
医療DXとは、病院や診療所、薬局などにばらばらにあるデータを集めて形式をそろえ、国の共通基盤に載せて、医療の現場で活かす取り組みです。製造業の動きと比べた解説は、コラム「医療DXと製造AX——国が同じ方向へ動き出した、二つのDX」でも紹介しています。
ばらばらのデータを共通基盤に集め、医療の現場で活かす医療DX
とはいえ、ゼロからの出発ではありません。オンライン資格確認や電子処方箋には、以前から運用の当事者として関わってきました。オンライン資格確認は、国民健康保険中央会と共同で運用しています。今回の改組で、こうした仕事が法律の上でも正式な役割になりました。
国との関係も変わりました。まず、厚生労働大臣が医療DXの方針「医療情報化推進方針」を定めます。機構はそれに沿って中期計画をつくり、大臣の認可を受けます。毎年度の計画と実績も、大臣の評価を受けます。
意思決定のしくみも変わった
機構の最高意思決定機関は、理事会から「運営会議」に変わりました。
メンバーは9名です。保険者、診療を担う側、被保険者、地方公共団体、学識経験者の代表で構成されます。国民健康保険の関係団体や自治体も加わり、医療DXに関わることを一つの場で決めます。
一方、審査と支払いの重要事項は、新しく設けられた「審査支払運営委員会」が決めます。これまでの決め方は基本的に引き継がれました。本業の審査と支払いは、これまでどおり続く体制です。
医療機関・健診機関から見た現在位置
日々のやり取りは、ほとんど変わりません。レセプトなどの提出先も、電話番号も、地方拠点の住所もそのままです。
変わったのは、システムの接続先です。2026年10月5日に、新しい接続先へ切り替わりました。利用している施設では、再セットアップが必要です。
| システム | 主な利用者 | 再セットアップの期限 |
|---|---|---|
| オンライン請求システム | 保険医療機関・保険薬局など | 2027年3月末 |
| 特定健診・保健指導システム | 特定健診等機関 | 2027年8月末 |
医療機関や健診機関は、オンライン請求や資格確認、特定健診のデータを通じて、ふだんから機構とやり取りしています。名前が変わったこの機会に、自院のどのシステムが機構とつながっているか、確かめておくと安心です。
『iD-Heart』をお使いの医療機関様へ
iD-Heartサポートセンターの記録では、今回の改組に関するお問い合わせは、これまでのところ寄せられていません(2026年11月6日時点)。なお、iD-Heartと機構のオンライン請求システムの間に、直接の連携はありません。
特定健診・保健指導システムの再セットアップについては、機構の案内をご確認ください。なお、『iD-Heart』でのXML作成はこれまでどおりです。
院内では、複数のシステムがつながって動いています。テクノアは、iD-Heartと連携・関連するシステムについての理解も深めながら、安定したサービスの提供に努めています。iD-Heartの操作や設定で気になる点があれば、iD-Heartサポートセンターにお問い合わせください。
おわりに
支払基金は80年近く、審査と支払いを担ってきました。その間に、オンライン化やデータの活用も少しずつ進めてきました。今回の改組で、その延長線上にある医療DXが、正式な役割に加わったことになります。
電子カルテ情報の共有はすでに始まり、データの二次利用もこれから動き出します。院内の電子カルテやレセプトコンピュータ、健診システムが、外のしくみとどうつながっているか。そこが、いままで以上に大切になります。2030年末までに電子カルテの普及率を約100%にすることも、政府の責務として定められています。
テクノアはこれからも、健診システムをつくる立場から、医療システムに関連した情報をお伝えしていきます。
医療DXへの備えや院内システムの連携について、医療機関様の状況に合わせたご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。
- 無料相談のお申し込み:https://www.id-heart.com/contactlist/consultation/
- 製品・サービスについてのお問い合わせ:https://www.id-heart.com/contactlist/contact/
出典
よくある質問(FAQ)
Q1. DX審査支払機構の正式名称は何ですか?
A. 「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」です。
英語名はJapan Healthcare Payment & Digital Transformation Services、英語の略称はHPDXです。2026年10月1日に、社会保険診療報酬支払基金から名称を変えて発足しました。
Q2. 支払基金はいつ設立されたのですか?
A. 1948年(昭和23年)9月に業務を始めました。
同年7月に社会保険診療報酬支払基金法が公布され、9月から診療報酬の審査・支払業務を始めています。
Q3. 改組によって、支払基金の役割はどう変わりましたか?
A. 診療報酬の審査と支払いに加えて、国の医療DX施策を進める中心になりました。
厚生労働大臣が定める「医療情報化推進方針」に沿って中期計画をつくり、大臣の認可を受けるしくみも導入されています。
Q4. 運営会議とは何ですか?
A. 理事会に代わって置かれた、機構の最高意思決定機関です。
保険者、診療を担う側、被保険者、地方公共団体、学識経験者の代表あわせて9名で構成されます。審査と支払いに関する重要事項は、別に設けられた「審査支払運営委員会」で決めます。
Q5. 医療機関や健診機関で必要な手続きはありますか?
A. システムの接続先が変わったため、再セットアップが必要です。
期限は、オンライン請求システムが2027年3月末、特定健診・保健指導システムが2027年8月末です。レセプトなどの提出先、電話番号、地方拠点の住所は変わっていません。
Q6. 特定健診と支払基金にはどのような関係がありますか?
A. 2008年4月の特定健診の開始から、特定健診等の費用の決済を代行しています。
健診機関が使う「特定健診・保健指導システム」(オンライン請求システム)も、支払基金が運用してきたものです。