この記事の著者
T.A.|ITコーディネータ(テクノア ブランディング戦略室)認定者番号 9058472025C
医療ITを専門としながら、製造業・ECサイトまでWebマーケティングを軸に多業種のシステム支援に携わってきたITコーディネータ。制度と現場の両面から医療機関の課題解決を支援しています。
※本記事は、生成AIを編集の補助として活用し、内容の企画・編集・事実確認は筆者が行っています。
2026年10月1日、社会保険診療報酬支払基金(以下、支払基金)は
「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」
に名前を変えました。略称は「DX審査支払機構」です。
「支払基金がなくなったの?」と思われた方もいるかもしれませんが、組織はそのまま続いています。変わったのは、名前と役割です。この2つを定めたのが「医療法等の一部を改正する法律」で、2025年12月5日に成立し、12月12日に公布されました。
健診システムベンダーの視点で、前編では法律の中身を、
後編ではDX審査支払機構に求められるようになった役割を掘り下げます。
💡このコラムでわかること
☑️支払基金はなくなったのではなく、名前と役割が変わったこと
☑️その根拠が「医療法等の一部を改正する法律」にあること
☑️法律が定める3つの柱と、施行のスケジュール
この法律がめざすもの
この法律がめざすのは、地域で質の高い医療を、効率よく届けられるようにすることです。背景には、高齢化と人口の減少があります。医療に求められることが、少しずつ変わってきているのです。
そのために、3つの柱が立てられました。地域医療構想の見直し、医師偏在の是正、そしてこの2つを支える医療DXの推進です。
ちなみに、法律名に「等」が付いているのは、いくつもの法律をまとめて改正しているからです。医療法のほか、健康保険法や社会保険診療報酬支払基金法なども含まれます。

柱① 地域医療構想の見直し
地域医療構想とは、地域ごとに将来の医療の姿を描く計画です。今回の改正で、2040年頃までを見据えた内容になりました。
これまでの中心は病床でした。これからは、外来や在宅医療、介護との連携も含めて考えます。医療機関には、高齢者の救急や在宅医療との連携など、自院が担う機能を報告するしくみもできます。
このほか、オンライン診療が医療法に定められ、手続きなどのルールが整いました。美容医療を行う医療機関には、定期的な報告などが義務付けられます。
柱② 医師偏在の是正
医師が一部の地域に集まり、ほかの地域で足りなくなっている。この状態を「偏在」と呼びます。対策として、主に次の3つが定められました。
- 都道府県が「重点的に医師を確保すべき区域」を定め、その区域で働く医師の手当を支えられるようになります。
- 外来の医師が多い区域で診療所を新しく開くときは、事前の届出が必要になりました。
- 保険医療機関の管理者には、保険医として一定年数の経験などが求められるようになりました。
柱③ 医療DXの推進
3つ目の柱は、①と②を下支えするものです。
たとえば、電子カルテの情報を医療機関どうしで共有できるようにすること。国が持つ医療・介護のデータを、氏名などを置き換えた形(仮名化)で研究などに使えるようにすること。こうした内容が盛り込まれました。2030年末までに電子カルテの普及率を約100%にすることも、政府の責務として書き込まれています。
では、この医療DXを誰が動かすのか。その母体に選ばれたのが支払基金です。名前や目的、組織のしくみが見直されました。このように組織のしくみを改めることを「改組」といいます。冒頭の名称変更は、この改組によるものです。
あわせて、厚生労働大臣が医療DXの方針「医療情報化推進方針」を定めることになりました。
施行は段階的に進む
すべてが一度に始まるわけではありません。原則の施行日は2027年4月1日ですが、項目によって時期が前後します。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2026年4月1日 | オンライン診療の法定化、医師偏在対策の一部、電子カルテ情報共有サービスによる情報共有など |
| 2026年10月1日 | 地域医療構想の見直しの一部、支払基金の改組(DX審査支払機構へ) |
| 2027年4月1日 | 原則の施行日 |
| 公布後3年以内(政令で定める日) | 美容医療の報告義務、医療データの二次利用など |
電子カルテ情報の共有と支払基金の改組は、すでに始まっています。医療データの二次利用などは、これから順に動き出します。
後編へ
後編では、DX審査支払機構に求められるようになった役割を見ていきます。
支払基金はなぜ名前を変えたのか|医療法等改正をあらためて読む【後編】
出典
よくある質問(FAQ)
Q1. 支払基金はなくなったのですか?
A. なくなっていません。
社会保険診療報酬支払基金は、2026年10月1日に「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」(略称:DX審査支払機構)へ名称を変え、改組しました。レセプトなどの提出先、電話番号、地方拠点の住所は変わっていません。
Q2. 支払基金の名称変更の根拠となった法律は何ですか?
A. 「医療法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第87号)です。
2025年12月5日に国会で成立し、12月12日に公布されました。
Q3. 医療法等改正の3つの柱は何ですか?
A. 地域医療構想の見直し、医師偏在の是正、医療DXの推進の3つです。
医療DXの推進は、ほかの2つの柱を支える基盤と位置づけられています。
Q4. 法律名に「等」が付いているのはなぜですか?
A. 複数の法律をまとめて改正しているためです。
医療法のほか、健康保険法や社会保険診療報酬支払基金法などが含まれます。
Q5. 改正法はいつから施行されますか?
A. 原則の施行日は2027年4月1日です。
ただし項目ごとに時期が異なり、オンライン診療の法定化や電子カルテ情報共有サービスによる情報共有などは2026年4月1日、支払基金の改組は2026年10月1日に施行されました。医療データの二次利用などは、公布後3年以内に政令で定める日から順次施行されます。
Q6. 改正法は電子カルテについて何を定めていますか?
A. 医療機関の間で電子カルテの情報を共有できるようにすることが定められました。
また、2030年12月31日までに電子カルテの普及率を約100%にすることが、政府の責務として定められています。