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COLUMN コラム

2025.9.26

これなら安心!健診業務のきほん|仕事の全体像と内容、流れ、失敗しやすいポイントを解説

この記事の著者

iD-Heartコラム執筆者

iD-Heartコラム担当

医療情報技師、ITコーディネータ、マーケティング担当が執筆します。
専門分野: 健診システム導入支援に19年間従事、健診事業に特化した医療機関の業務フロー改善を支援。

「健診業務の担当になったけど、何から覚えればいいの…?」
「覚えることが多すぎて、ミスしないか不安…」
健診部門で新しく働き始めたスタッフさんは、今まさにそんな気持ちかもしれませんね。
健診業務とは、企業や個人が健康状態を把握するために行う健康診断・人間ドックの予約受付から、検査補助、データ管理、結果報告までの一連の業務のこと。
これらの健診業務はたしかに多岐にわたりますが、一つ一つの業務にはちゃんとコツがあります。

この記事では、健診業務の全体像を「スッキリとご理解いただく」ことを目指しています。
① お客様と直接関わる仕事(外部対応業務)
② スムーズな運営を支える仕事(内部運営業務)
③ 1日の流れ
という3つの視点から、仕事内容を一つずつ一緒に見ていきたいと思います。

AIやマニュアルが教えてくれない「よくあるミスの防ぎ方」や「現場で役立つコツ」も具体的にお伝えします。
特別な資格や経験がなくても大丈夫です。
複雑に見える健診業務を整理し、ご自身の役割を理解するための一つの「道しるべ」のようになれば、と願っています。
健診業務に対する不安が少しでも和らぎ、「これなら、できそう」と感じるためのお手伝いができれば幸いです。

【公開中】小規模医療機関様のための健診業務ハンドブック

ここが分かると安心!健診業務を形づくる「4つの健診の種類」

健診業務には、会社自治体医療保険者(健保組合など)といったさまざまな主体が関わっています。そのため、私たちが行う受付やデータ入力といった一つ一つの作業も、健診の種類によって守るべきルールや報告方法が違ってきます

まずは、皆さんが日々接する健診が「誰の、何の目的のための健診なのか」、そして「結果をどう報告する必要があるのか」**を、この表でスッキリ整理しましょう。この違いを理解することが、ミスのない正確な業務への第一歩です。

種類 実施する人(義務) 大切な理由(目的) 主な報告方法
会社が義務の健診 企業(会社) 働く人の安全と健康を守るため
紙の報告書が基本
医療保険者が義務の健診(特定健診) 医療保険者(健保組合、自治体など) 40歳以上の生活習慣病予防
XMLデータ
地域住民の健診 主に自治体(市区町村) 地域住民の健康レベルを向上させるため
紙またはデータ(自治体指定)
任意・詳細な健診(人間ドック) 個人/会社が任意で選択 より詳細に健康状態をチェックするため
詳細な紙の報告書(特定健診利用時はデータも)

関連記事:~ 始まる第4期 ~ 特定健診・特定保健指導 見直しのポイント

健診業務とは? その目的と全体像(業務分類)

健診業務は、『外部対応業務』と『内部運営業務』の大きく2つに分けられます。
本格的な解説に入る前に、まずは健診業務の全体像を見てみましょう。
一つ一つの詳細は後の章でじっくり解説するので、今は「へぇ、こんなに色々な仕事が関わっているんだな」と、全体像を眺めてください。

【外部対応業務】受診者様・企業様と直接関わる仕事

業務名 内容
契約業務 企業や健康保険組合などと、健診コースの内容や料金を取り決める仕事
予約管理 電話などで予約を受け付け、健診日時を正確に管理・調整
事前準備 受診者様へ、問診票や検査キットなどの大切なご案内を事前に送付
当日の受付・案内
(アテンド)
来所された受診者様をお迎えし、書類などを確認
着替えや各検査へスムーズにご案内
検査の補助・介助 身体測定や採血など、医療スタッフと連携して受診者様の検査をサポート

【内部運営業務】健診運営をスムーズに支える仕事

業務名 内容
データ入力・管理 各検査の結果を、間違いがないよう正確に転記システムへ入力し、情報を管理
結果報告書の作成・発送 受診者様や企業様へお渡しする、健康状態が記された大切な報告書を作成し、発送
請求・精算業務 実施した健診の費用を計算し、企業様や健康保険組合へ請求
・企業だけでなく、健康保険組合や協会けんぽ国保といった保険者への請求業務も含まれます
・法定健診ではレセプト(診療報酬明細書)のような仕組みではなく、請求書ベースとなります。
院内・外部連携 院内の他部署(放射線科など)や、外部の検査会社とスムーズに連携
検査の補助・介助 身体測定や採血など、医療スタッフと連携して受診者様の検査をサポート

第1章:受診者様・企業様向けの業務(お客様と直接関わる仕事)

【この章でお話しすること】
・受診者様や企業の方と接する際の基本的な業務内容について
・お客様に安心感を与え、信頼を得るための具体的なコミュニケーションのヒント
・よくあるクレームやミスを防ぐための考え方

1-1. 予約管理・事前準備:健診の第一印象を決める大切な窓口

業務内容:電話などでの予約受付、予約変更・キャンセル対応、問診票や検査キットの事前送付など。

POINT:失敗を防ぐためのヒント
電話予約では、お名前や生年月日などの聞き間違いを防ぐための「復唱確認」を必ず行いましょう。
団体の予約を一括で受ける際には、受診者様のお名前や生年月日だけでなく、受診コースの確認も必要です。
事前送付物の入れ間違いは、受診者様の不信感に繋がります。
複数人でのダブルチェックや「送付物チェックリスト」の活用が有効です。

1-2. 当日の受付・案内:受診者様の不安を和らげる「おもてなし」

業務内容:受付での本人確認、保険証や持参物のチェック、更衣室や検査室への案内(アテンド)。

POINT:受診者様の不安に寄り添う声かけ
健康診断の受診者様は日頃から医療機関にかからない方も多く、院内で不安を抱かれる方もいらっしゃいます。
「検査、少し緊張しますよね。大丈夫ですよ」といった共感の言葉が、受診者様の心を和らげます。
「次は血圧測定です。すぐに終わりますので、あちらでお待ちください」など、次に何をするか、どのくらいかかるかの見通しを伝えるだけで、受診者様は安心できます。
待ち時間が長引く際は、「お待たせして申し訳ありません」の一言で、受診者様の気持ちは大きく変わります。

1-3. 検査の補助:チームで支えるスムーズな検査

業務内容:身体測定(身長・体重など)、視力・聴力検査、採血や採尿のサポート、医師の診察補助。

POINT:自分の役割を正しく知るために
採血行為やレントゲン撮影など、資格が必要な医療行為と、資格がなくてもできる補助業務(準備、介助、ご案内など)の線引きを正しく理解しておくことが極めて重要です。
医療スタッフが検査に集中できるよう、先回りして準備を行うなど、スムーズな連携を心がけましょう。

1-4. 企業との対応:施設の売上を支える重要な業務
業務内容:法人契約の内容確認、企業担当者様との日程調整、見積書作成のサポートなど。

POINT:知っておくと安心な豆知識
企業には、従業員に年1回の定期健康診断を受けさせる「義務」があること(労働安全衛生法)を知っておくと、担当者様との会話がスムーズになります。
「なぜ病気の治療より健診のほうが高額なの?」という質問には、「健康保険が適用される治療と異なり、予防目的の健診は原則として保険適用外のためです」と説明できるようにしておきましょう。

【コラム】先輩からのワンポイントアドバイス ①
 〜小さな気遣いが、施設の大きな信頼に繋がる〜
 マニュアル通りの対応だけでなく、「お手洗いは大丈夫ですか?」「足元、お気をつけくださいね」といった、ほんの少しの気遣いが受診者様の安心感と満足度に繋がり、施設の大きな信頼となっていきます。

第2章:部門・院内での業務(スムーズな運営を支える仕事)

【この章でお話しすること】
・健診の裏側を支える、データ管理や事務作業の重要性について
・面倒な作業を「楽に」「ミスなく」こなすための、考え方のヒント
・他の部署や外部業者との連携をスムーズに進める、コミュニケーションのコツ

2-1. データ管理・事務作業:健診業務の「心臓部」

業務内容:各検査で得られた結果数値を、管理用の台帳やPCファイルに一つひとつ正確に転記・入力していく作業。
この記録を元に、受診者様や企業様へお渡しする結果報告書を作成し、発送。
これらのデータを元に、健診の費用を計算して請求書を作成。

関連記事「Excelで作る 健康診断・人間ドック 結果報告書」

POINT:ミスを防ぎ、正確に管理するための基本
・「転記ミス」は、この業務で最も注意すべき点
手作業での入力は、どんなに慣れた人でも、ふとした瞬間に間違いが起こり得る、非常に神経を使う作業です。特に、受診者様の取り違えや、数値の桁間違いは、施設の信頼を揺るがしかねない重大なミスに繋がります。

・基本にして最強の味方、「ダブルチェック」
ミスを防ぐ最も効果的な方法は、やはり「ダブルチェック」です。「一人が入力し、時間を置いてから自分でもう一度見直す」、あるいは「別の人が入力内容を確認する」という一手間が、ミスの発生を劇的に減らしてくれます。単純な方法ですが、これ以上に確実な対策はありません。

・入力する「書式(フォーマット)」を揃えておく

毎回、入力する表のレイアウトが違っていたり、項目の順番がバラバラだったりすると、それだけで見間違いや転記ミスの原因になります。管理用の台帳やファイルは、一度決めた書式に揃えて運用するだけで、作業が格段にスムーズになり、ミスも起こりにくくなります。

2-2. 院内・外部との連携:スムーズな運営のための「報・連・相」

業務内容:院内の放射線科・生理検査科との調整、検体を委託する外部検査センターとのやり取りなど。

POINT:「誰に・何を・いつまでに」を明確にするコツ
「検査を行う専門科への連絡手順」「検体の問い合わせは△△センターの□□さんへ」など、具体的な依頼先と要件を、自分だけでなくチーム全員が分かるように一覧にしておくと、誰が対応しても安心です。
何かを依頼する際は、「いつまでに必要か」という期限を明確に伝えることで、後の「言った・言わない」というトラブルを防ぎます。

第3章:1日の流れ(ワークフロー)で見る健診業務

【この章でお話しすること】
・健診現場が、朝の準備から終業までどのように動いているかの全体像
・自分の担当業務が、全体のどの部分を担い、どう繋がっているのか

モデルケースで解説:「中小規模の健診施設で働くAさん」の1日を追い、業務の流れを時系列で紹介します。

タイムスケジュール例:
【8:30 開院準備】 院内清掃、予約確認、検査機器の立ち上げ
【9:00 受付・検査ピーク】 受付案内、検査補助など外部対応業務が中心
【12:00 午前終了・休憩】 スタッフ間で午前の状況を共有
【14:00 事務作業中心】 データ入力、結果報告書作成など内部運営業務に集中
【17:00 終業準備】 翌日の準備、備品チェック、戸締まり

POINT:あなたの仕事が、チームを支えている
あなたが受付で丁寧に行った確認作業が、次のデータ入力担当者のミスを防ぎます。
自分の仕事が、リレーのバトンのように次の誰かに繋がっていると想像すると、責任感とやりがいが、きっと自然に生まれてきます。
ここでは、仕事をよりスムーズにするための「3つの視点」を、シンプルにご紹介します。

視点①:情報は「チームの財産」と考える
大切な情報は、自分だけのメモにせず、誰もがわかる場所に記録する。
「個人プレー」から「チームプレー」へ、意識を変えるだけでミスは大きく減ります。

視点②:「流れを整える」のも大切な仕事
忙しい時こそ、「どうすればもっと楽になるか?」を考えるチャンスです。
「この時間は電話が鳴りやまないから、〇〇の作業は午後にしよう」と工夫する。
その一つひとつの改善が、未来の自分たちを助けます。

視点③:「大変になってきた」は、改善のサイン
受診者様が増えて仕事が大変になるのは、施設が信頼されている証拠。
それは「もっと良いやり方を見つけるチャンスが来た!」という嬉しいサインです。

まとめ|大切な業務だからこそ、考えたいこと

ここまで、健診業務の全体像と、日々の仕事の流れを一緒に見てきました。
予約の管理から、検査結果の入力、報告書の作成まで、一つひとつの業務が正確さを求められ、まさに「リレーのバトン」のようにつながっていることが、お分かりいただけたかと思います。
そして、こうした大切な業務を、人の手で、間違いなく、毎日続けることの大変さも、同時に感じられたかもしれません。
もし、皆さんが日々向き合っているその「大変さ」を、少しでも「楽」にできるお手伝いができるとしたら。

健診業務には健診システム

健診業務の「大変」を「楽」にしませんか?
日々の予約管理、データ入力、結果作成…健診業務には、ミスが許されない煩雑な作業が多く存在します。
私たちテクノアが提供する健診システム「iD-Heart」は、そんな現場の負担を軽減し、「楽に」「ミスなく」業務を行えるよう、様々な機能でサポートします。

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