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支払基金はなぜ名前を変えたのか|医療法等改正をあらためて読む【前編】

作成者: iD-Heartコラム担当|2026.11.6

この法律がめざすもの

この法律がめざすのは、地域で質の高い医療を、効率よく届けられるようにすることです。背景には、高齢化と人口の減少があります。医療に求められることが、少しずつ変わってきているのです。

そのために、3つの柱が立てられました。地域医療構想の見直し、医師偏在の是正、そしてこの2つを支える医療DXの推進です。

ちなみに、法律名に「等」が付いているのは、いくつもの法律をまとめて改正しているからです。医療法のほか、健康保険法や社会保険診療報酬支払基金法なども含まれます。

柱① 地域医療構想の見直し

地域医療構想とは、地域ごとに将来の医療の姿を描く計画です。今回の改正で、2040年頃までを見据えた内容になりました。

これまでの中心は病床でした。これからは、外来や在宅医療、介護との連携も含めて考えます。医療機関には、高齢者の救急や在宅医療との連携など、自院が担う機能を報告するしくみもできます。

このほか、オンライン診療が医療法に定められ、手続きなどのルールが整いました。美容医療を行う医療機関には、定期的な報告などが義務付けられます。

柱② 医師偏在の是正

医師が一部の地域に集まり、ほかの地域で足りなくなっている。この状態を「偏在」と呼びます。対策として、主に次の3つが定められました。

  • 都道府県が「重点的に医師を確保すべき区域」を定め、その区域で働く医師の手当を支えられるようになります。
  • 外来の医師が多い区域で診療所を新しく開くときは、事前の届出が必要になりました。
  • 保険医療機関の管理者には、保険医として一定年数の経験などが求められるようになりました。

柱③ 医療DXの推進

3つ目の柱は、①と②を下支えするものです。

たとえば、電子カルテの情報を医療機関どうしで共有できるようにすること。国が持つ医療・介護のデータを、氏名などを置き換えた形(仮名化)で研究などに使えるようにすること。こうした内容が盛り込まれました。2030年末までに電子カルテの普及率を約100%にすることも、政府の責務として書き込まれています。

では、この医療DXを誰が動かすのか。その母体に選ばれたのが支払基金です。名前や目的、組織のしくみが見直されました。このように組織のしくみを改めることを「改組」といいます。冒頭の名称変更は、この改組によるものです。

あわせて、厚生労働大臣が医療DXの方針「医療情報化推進方針」を定めることになりました。

施行は段階的に進む

すべてが一度に始まるわけではありません。原則の施行日は2027年4月1日ですが、項目によって時期が前後します。

時期 主な内容
2026年4月1日 オンライン診療の法定化、医師偏在対策の一部、電子カルテ情報共有サービスによる情報共有など
2026年10月1日 地域医療構想の見直しの一部、支払基金の改組(DX審査支払機構へ)
2027年4月1日 原則の施行日
公布後3年以内(政令で定める日) 美容医療の報告義務、医療データの二次利用など

電子カルテ情報の共有と支払基金の改組は、すでに始まっています。医療データの二次利用などは、これから順に動き出します。

後編へ

後編では、DX審査支払機構に求められるようになった役割を見ていきます。

支払基金はなぜ名前を変えたのか|医療法等改正をあらためて読む【後編】

出典