コラム | 総合健診支援システム iD-Heart

支払基金はなぜ名前を変えたのか|医療法等改正をあらためて読む【後編】

作成者: iD-Heartコラム担当|2026.11.6

これまでの役割:審査と支払い

支払基金が業務を始めたのは、1948年(昭和23年)9月です。

仕事の中心は、診療報酬の審査と支払いです。医療機関から届いた請求を審査し、保険者ごとにまとめて請求します。そのうえで、医療機関に支払います。創設以来、この流れを一手に担ってきました。

その後、制度が広がるにつれて、仕事の範囲も広がっていきます。

年 主な出来事
1948年 診療報酬の審査・支払業務を開始
2000年 介護保険関係の業務を開始
2006年 医療機関などからのオンライン請求を開始
2008年 特定健診等の費用の決済を代行する業務を開始
2021年 オンライン資格確認の本格運用を開始
2023年 電子処方箋管理サービスの運用を開始

健診との関わりが始まったのは、2008年です。
特定健診のスタートと同時に、特定健診等の費用の決済を代行するようになりました。健診機関が使う「特定健診・保健指導システム」も、支払基金が運用してきたものです。

新たに求められる役割:医療DXの母体

改組(組織のしくみの見直し)によって、機構は審査と支払いに加えて、国の医療DX施策を進める中心になりました。

医療DXとは、病院や診療所、薬局などにばらばらにあるデータを集めて形式をそろえ、国の共通基盤に載せて、医療の現場で活かす取り組みです。製造業の動きと比べた解説は、コラム「医療DXと製造AX——国が同じ方向へ動き出した、二つのDX」でも紹介しています。

ばらばらのデータを共通基盤に集め、医療の現場で活かす医療DX

とはいえ、ゼロからの出発ではありません。オンライン資格確認や電子処方箋には、以前から運用の当事者として関わってきました。オンライン資格確認は、国民健康保険中央会と共同で運用しています。今回の改組で、こうした仕事が法律の上でも正式な役割になりました。

国との関係も変わりました。まず、厚生労働大臣が医療DXの方針「医療情報化推進方針」を定めます。機構はそれに沿って中期計画をつくり、大臣の認可を受けます。毎年度の計画と実績も、大臣の評価を受けます。

意思決定のしくみも変わった

機構の最高意思決定機関は、理事会から「運営会議」に変わりました。

メンバーは9名です。保険者、診療を担う側、被保険者、地方公共団体、学識経験者の代表で構成されます。国民健康保険の関係団体や自治体も加わり、医療DXに関わることを一つの場で決めます。

一方、審査と支払いの重要事項は、新しく設けられた「審査支払運営委員会」が決めます。これまでの決め方は基本的に引き継がれました。本業の審査と支払いは、これまでどおり続く体制です。

医療機関・健診機関から見た現在位置

日々のやり取りは、ほとんど変わりません。レセプトなどの提出先も、電話番号も、地方拠点の住所もそのままです。

変わったのは、システムの接続先です。2026年10月5日に、新しい接続先へ切り替わりました。利用している施設では、再セットアップが必要です。

システム 主な利用者 再セットアップの期限
オンライン請求システム 保険医療機関・保険薬局など 2027年3月末
特定健診・保健指導システム 特定健診等機関 2027年8月末

医療機関や健診機関は、オンライン請求や資格確認、特定健診のデータを通じて、ふだんから機構とやり取りしています。名前が変わったこの機会に、自院のどのシステムが機構とつながっているか、確かめておくと安心です。

『iD-Heart』をお使いの医療機関様へ

iD-Heartサポートセンターの記録では、今回の改組に関するお問い合わせは、これまでのところ寄せられていません(2026年11月6日時点)。なお、iD-Heartと機構のオンライン請求システムの間に、直接の連携はありません。

特定健診・保健指導システムの再セットアップについては、機構の案内をご確認ください。なお、『iD-Heart』でのXML作成はこれまでどおりです。

院内では、複数のシステムがつながって動いています。テクノアは、iD-Heartと連携・関連するシステムについての理解も深めながら、安定したサービスの提供に努めています。iD-Heartの操作や設定で気になる点があれば、iD-Heartサポートセンターにお問い合わせください。

おわりに

支払基金は80年近く、審査と支払いを担ってきました。その間に、オンライン化やデータの活用も少しずつ進めてきました。今回の改組で、その延長線上にある医療DXが、正式な役割に加わったことになります。

電子カルテ情報の共有はすでに始まり、データの二次利用もこれから動き出します。院内の電子カルテやレセプトコンピュータ、健診システムが、外のしくみとどうつながっているか。そこが、いままで以上に大切になります。2030年末までに電子カルテの普及率を約100%にすることも、政府の責務として定められています。

テクノアはこれからも、健診システムをつくる立場から、医療システムに関連した情報をお伝えしていきます。
医療DXへの備えや院内システムの連携について、医療機関様の状況に合わせたご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。

出典