コラム | 総合健診支援システム iD-Heart

クリニック・小規模病院で健診業務にお悩みの管理者様へ|知っておきたい7つのQ&A

作成者: iD-Heartコラム担当|2025.11.26

本コラムは、クリニック・小規模病院で健診業務を担当される管理者の皆様に向けて、実務でよくある疑問をQ&A形式でまとめたものです。

【対象読者】
年間100〜1,500件程度の健診を実施されている医療機関の業務管理者様を基本としています。

【コラムの構成】
健診システムの選び方、業務効率化、スタッフ教育、制度対応など、7つのテーマについて具体的な視点をお届けします。

少しでも、日々の業務のヒントになれば幸いです。

 Q1. 健診事業をスタートするにあたって、まず押さえるべきことは何でしょうか?

A. 通常診療とは異なる業務特性を理解し、無理のない体制を整えることが大切です。

健診業務は通常の診療とは大きく異なります。
対象は「患者」ではなく「受診者」であり、健診は「受診者へのサービス提供」という側面が強い事業です。

健診事業の業務範囲

健診業務は結果報告書を作成するだけではなく、以下のような多岐にわたる業務が含まれます:

  • 健診コースの内容と価格の設定 
     労働安全衛生法に基づく法定項目の把握
  • 契約先との契約 
     企業や健保組合との契約内容の文書化、検査項目の調整
  • 受診者対応
     日時予約、事前帳票(問診票・案内書)の送付、当日の接遇
  • 請求業務 
     受診者個人および契約企業、保険者、自治体などへの請求
  • 事後対応  
     結果報告書の作成と送付、フォローアップ

想像以上に幅広い業務があることに、驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。

管理者として押さえておきたい3つの柱

健診事業を成功させるためには、以下の3つの要素をバランスよく管理することが大切です。

  1. お客様対応
     受診者の満足度向上、契約企業との信頼関係構築
  2. 制度対応
     特定健診など、事業継続に必要な要件への対応
  3. データ・収益管理
     正確なデータ管理、適切な請求処理、事業の発展

事業立ち上げ時に準備しておきたいこと

  1. 地域の価格相場を把握する 
     健診費用は地域によって大きく異なります
     適正な価格設定が事業の継続性を左右します

  2. スタッフの業務分担を明確にする 
     医事課との兼務が多い中、誰が何を担当するのかを明確にしておくことが大切です
     繁忙期の対応体制も考慮しておきましょう

  3. 施設・設備の準備
     更衣室、待合スペース、検査機器の配置
     受診者のプライバシーに配慮した動線設計

  4. 制度要件の確認 
     特定健診を実施する場合の届出
     必要な調査や報告への対応体制

実務ノウハウの習得について

健診業務の実務については、テクノアが発行する『小規模医療機関様のための健診業務ハンドブック』に詳しくまとめられています。
コース設定、帳票準備、当日運用、請求実務など、現場で即活用できる具体例が豊富に掲載されています。

現場のスタッフの皆様にもこのハンドブックをご紹介いただくことで、チーム全体で健診業務の理解を深めることができます。

ダウンロード:健診業務ハンドブック(無料)

・掲載内容の一例
   地域ごとの健診費用(東名阪の医療機関500施設以上を調査)
   請求時の負担金額の割り振り例や団体/個人別の注意事項
  判定や所見(日本人間ドック・予防医療学会情報を掲載)
   世代別かかりつけ医の有無からみるフォローアップの重要性

・ハンドブックをご覧いただきたい方
  医療/健診事務部門の責任者の方
  健診業務(事務)の担当者、担当予定の方
  健診業務に関わる医師、コメディカルスタッフ
  医療機関の理事長や院長

Q2. 特定健診・特定保健指導のデータ提出は必須なのでしょうか?

A. はい、電子的なデータ提出が義務付けられています

特定健診・特定保健指導を実施する医療機関は、厚生労働省が定める標準的な電子的データ標準様式(XMLファイル)での結果提出が義務となっています。

データ提出の要件

  • 特定健診 
     検査結果、質問票の回答などをXML形式で作成
  • 特定保健指導 
     保健指導の実施内容、評価結果などを記録
  • 提出先 
     各保険者(協会けんぽ、健保組合など)が指定する方法で提出

手作業での対応が難しい理由

  • XML形式のデータを手作業で作成するのは、現実的にかなり困難です
  • データの整合性チェックや必須項目の確認に多大な時間がかかります
  • 提出期限に間に合わせるための負担も大きくなります
  • ミスが発生すると保険者からの指摘や信頼低下につながる可能性があります

 特定健診XMLデータをテキストエディタだけで作るのは困難

お客様対応への影響

データ提出の遅延やミスは、契約企業や保険者との信頼関係を損なってしまうかもしれません。
正確かつ迅速なデータ提出は、お客様満足度にも関わる大切な業務です。

対応方法について:
多くの医療機関では、特定健診に対応した健診システムを導入することで、データを自動生成・提出できる体制を整えています。
システム化により、業務効率化と正確性の向上を図ることが可能です。

Q3. 健診結果の保管期間や管理方法について教えてください

A. 法令で定められた保管期間があり、適切な管理が求められます

健診結果の適切な管理は、お客様への迅速な対応と、法令遵守の両面から大切です。

保管期間の目安

  • 一般健診
     
    5年間
  • 特定健診
     
    5年間
  • 労働安全衛生法に基づく健診
     
    5年間(一部の項目は長期保管が望ましい場合があります)

管理上の注意点

  1. 個人情報保護 
     健診結果は要配慮個人情報に該当
     漏洩・紛失を防ぐための物理的・技術的対策が必要
     アクセス権限の管理も徹底が必要

  2. 検索性の確保(お客様対応の観点) 
     受診者から「昨年の結果と比較したい」「過去の健診結果の写しが欲しい」という問い合わせに、すぐに対応できる体制が理想的
     契約企業からのデータ照会にも迅速に対応できることが大切

  3. 保管スペース 
     紙媒体での保管は年々スペースを圧迫
     電子化による省スペース化も検討の価値あり

  4. 廃棄の適切な実施 
     保管期間経過後は適切な方法で廃棄する必要あり
     廃棄記録の保持も大切

お客様対応への影響

紙ベースの保管では、探すだけで時間がかかり、お客様をお待たせすることになってしまいます。
「すぐに対応してもらえた」という体験は、顧客満足度に直結します。

電子化のメリット

健診システムを導入して電子保管を行う場合、保管スペースの削減、検索性の向上、バックアップによる安全性の確保が可能になります。また、受診者への迅速な対応が実現できます。

Q4. 電子カルテがあれば健診システムは不要ではないでしょうか?

A. 電子カルテの付随機能では、企業健診の要件を満たすことが難しい場合が多いです。

電子カルテは主に日常の診療業務を効率化するために設計されています。企業健診や特定健診には、診療とは異なる複雑な要件があり、電子カルテの標準機能では対応しきれないケースが多いのが実情です。

「電子カルテがあるのに、また別のシステム?」と思われるお気持ち、よくわかります。
でも、健診業務には以下のような特有の要件と制約があります。

健診業務特有の要件

  1. 特定健診のデータ提出(制度対応) 
     厚生労働省が定めるXML形式での電子的提出必須
     電子カルテの標準機能では対応困難

  2. 複数保険者への個別対応(お客様対応)
     協会けんぽ、各健保組合、共済組合など、保険者ごとに提出方法が異なる
     契約企業ごとのオプション検査項目の管理が必要
     企業ごとの報告書フォーマットへの対応も必要

  3. 請求業務の複雑さ(収益管理) 
     保険者ごとの単価設定
     オプション検査の個別請求
     月次・年次での集計レポート
     契約企業ごとの請求条件管理

  4. データ管理の効率性 
     過去データとの比較表示
     受診者からの問い合わせへの迅速な対応
     契約企業への集計データ提供

参考記事

電子カルテと健診システムの違いについて、より詳しくは以下の記事をご参照ください。

 電子カルテの付随機能では企業健診対応が困難な理由

結論

電子カルテと健診システムは、それぞれ役割が異なります。お客様対応、制度対応、データ管理、収益管理を適切に行うためには、健診専用システムの導入を検討する価値があります。

Q5. 健診件数が少ない場合でも、システム導入を検討すべきでしょうか?

A. 件数ではなく、業務課題と将来性で判断されることをお勧めします

「うちは年間100件程度だから、システムはまだ早いかな...」と思われている管理者様も多いのではないでしょうか。
実は、件数が少なくても、お客様対応、制度対応、データ管理、収益管理の課題は同じように存在します。

制度対応の観点

  1. 特定健診を実施する場合 
     XML形式でのデータ提出は義務
     件数に関わらず、手作業での対応は困難

  2. 複数の保険者と契約している場合 
     保険者ごとの様式や単価の管理が煩雑に
     請求ミスのリスクも高まる

お客様対応・収益管理の観点

件数が少なくても、以下の課題は残ります:

  • 受診者からの問い合わせへの迅速な対応
  • 契約企業への正確な報告と請求
  • 過去データとの比較提供

システム導入で期待できる効果

  • 業務時間の削減 
     手作業の時間を、他の業務やお客様対応に振り向けられる
  • 正確性の向上 
     入力ミスや提出漏れ、誤請求を防ぐ
  • 顧客満足度の向上 
     迅速で正確な対応が可能に
  • スタッフの負担軽減 
     兼務スタッフの負担が低減

段階的な導入の検討

初期投資を抑えたい場合は、必要最小限の機能から導入し、件数増加に応じて拡張していくことも選択肢の一つです。
必要な機能をあとから追加できるシステムであれば、運用状況に応じた投資が可能です。

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将来性の考慮

健診事業を拡大する計画がある場合、早期のシステム化が将来の成長基盤となります。
業務の標準化とデータ一元管理により、受診者増加時もスタッフ負担を抑制できます。
早期導入で蓄積したデータは将来の分析基盤となり、効率的な事業拡大を支える土台となるためです。

管理者の判断ポイント

「件数が少ないからシステムは不要」ではなく、「お客様対応・制度対応・データ管理・収益管理を適切に行える体制を維持できるか」「将来の事業拡大を見据えているか」が判断基準となります。

Q6. システム選定時に確認すべきポイントを教えてください

A. お客様対応、制度対応、データ管理、収益管理の各視点から総合的に評価してください

健診システムを選定する際には、以下のポイントを確認することが大切です。

チェックリスト形式にまとめましたので、ベンダーとの打ち合わせの際にぜひご活用ください。

1. 制度対応

  •  特定健診のXMLデータ出力に対応しているか
  •  協会けんぽ、各健保組合の様式に対応できるか
  •  法改正時の対応が遅滞なく、適切に行われるか

2. お客様対応機能

  •  契約企業ごとの報告書フォーマット設定ができるか

  •  受診者からの問い合わせ対応(過去データ検索など)が可能か

  •  保険者ごとの様式出力に対応しているか

  •  オプション検査の追加(報告書記載や帳票追加)ができるか

3. データ管理機能

  •  過去データとの比較表示が容易か

  •  データのバックアップ体制が整っているか

  •  検索性能が優れているか

  •  保管期間5年分のデータを安全に管理できるか

4. 収益管理機能

  •  保険者ごと、企業ごとの単価設定ができるか

  •  オプション検査の個別請求に対応しているか

  •  月次・年次での集計レポート機能があるか

  •  請求漏れや誤請求を防ぐチェック機能があるか

5. 業務フローとの適合性

  •  自院の受付から結果報告までの業務フローに合っているか

  •  電子カルテや検査機器との連携は可能か

  •  複数端末での利用に対応しているか

6. 操作性・使いやすさ

  • IT操作に不慣れなスタッフにもわかりやすいインターフェースか

  •  入力補助機能(自動計算、エラーチェックなど)が充実しているか

  •  マニュアルやヘルプ機能が分かりやすいか

7. サポート体制

  •  導入時の研修やトレーニングがあるか

  •  問い合わせ対応の時間帯や方法(電話、メール、リモートなど)

  •  トラブル時の対応スピード

8. セキュリティ

  •  個人情報保護の対策(アクセス制限、暗号化など)

  •  データのバックアップ体制

  •  災害時の事業継続性(BCP)

9. 拡張性

  •  健診件数が増加した場合のスケーラビリティ

  •  新しい検査項目や健診コースの追加が容易か

  •  他システムとの連携拡張の可能性

10. 費用

  •  初期費用、月額費用、保守費用の明確な提示

  •  追加費用(カスタマイズ、ユーザー追加など)の条件

  •  解約時の条件やデータ移行の費用

導入前の確認方法

  • デモ 
     必ず実際の画面を確認しましょう
  • トライアル 
     可能であれば試用期間を設けることをお勧めします
  • 事例 
     同規模・同業務内容の医療機関での導入事例を確認しましょう
  • 見積比較
     複数のベンダーから見積を取り、比較検討しましょう

管理者の判断ポイント

システム選定は、スタッフの使いやすさと、お客様対応・制度対応・データ管理・収益管理の各要素の実現性を総合的に評価することが大切です。
実際に操作するスタッフの意見も取り入れることをお勧めします。

Q7. 協会けんぽの指定を受けるには、どのような準備が必要でしょうか?

A. 健診部門の環境整備が前提となり、申請から指定まで時間を要する場合があります

協会けんぽ(全国健康保険協会)の健診実施機関としての指定は、健診事業の拡大を目指す際の選択肢の一つです。
指定を受けることで、協会けんぽ加入者という大きな顧客層にアプローチできるようになります。
ただし、指定の取得には十分な準備と環境整備が必要です。

健診実施期間の選定基準(協会けんぽ発行)

【推奨アプローチ】
まずは、お近くの協会けんぽ支部に相談されることをおすすめします。
現在の施設状況を説明し、指定要件を満たすために何が必要か、 具体的なアドバイスを受けることができます。

指定までの流れ

  1. 健診部門の立ち上げと環境整備(最優先) 
     施設基準の整備(検査室、待合室、更衣室など)
     人員配置(医師、看護師、臨床検査技師など)
     検査機器の導入と精度管理体制の確立
     外部受け入れの準備と運用体制の構築
     お客様対応、制度対応、データ管理の体制確立

  2. 要件の確認 
     施設基準、人員配置、検査項目の実施体制などを確認

  3. 申請書類の準備 
     施設概要、検査体制、健診実施計画などを記載
     必要な証明書類の収集が必要

  4. 申請提出 
     管轄の協会けんぽ支部へ提出

  5. 審査
     書類審査、実地調査が行われる
     不備があれば追加資料の提出や改善が求めらる

  6. 指定通知
     要件を満たすことで指定機関として登録

所要期間

申請から指定までは時間を要します。
書類の不備や追加資料の提出があればさらに時間がかかります。
余裕をもったスケジュールで進めることをお勧めします。

知っておいていただきたいポイント

協会けんぽの指定取得については、医療機関により様々なアプローチがあります。

《アプローチ例》

  • 新規立ち上げ時から協会けんぽ指定を前提に準備を進める
  • まずは企業健診や特定健診から開始し、実績を積んでから指定を目指す
  • 既存の健診部門を拡充する形で指定要件を整える

いずれの場合も、指定要件(施設基準、精度管理体制、データ管理体制など)を満たす必要があります。
自院の状況や事業計画に応じて、協会けんぽ支部に早めに相談されることをおすすめします。

管理者の判断ポイント

協会けんぽ指定は、健診事業の拡大につながる選択肢の一つですが、取得することが目的ではありません。
重要なのは、指定後も安定的に質の高い健診を提供できる体制作りです。

判断の際に確認しておきたいこと
・施設基準を満たすための投資は適正か
・精度管理体制を継続的に維持できるか
・14日以内の結果通知など、協会けんぽの要件を遵守できる体制か
・スタッフの負担が過度にならないか

「指定を取ること」ではなく、「指定後も責任を持って運営できるか」という視点で判断されることをおすすめします。

おわりに

健診事業の運営には、
・受診者や契約企業への質の高いサービス提供(お客様対応)
・特定健診のデータ提出などの制度要件への対応(制度対応)
・健診結果の適切な保管と検索性の確保(データ管理)
・そして正確な請求処理と事業の発展(収益管理)
という、複数の大切な要素が求められます。

これらすべてを、限られたスタッフで効率的に実現していくこと。それが、管理者の皆様に課せられた経営課題ですよね。

日々の業務の中で、「このやり方で本当に大丈夫だろうか」と不安に思われることもあるかもしれません。でも、一つひとつ丁寧に対応していくことで、受診者や契約企業からも満足の声が届きます。