コラム | 総合健診支援システム iD-Heart

令和8年版厚生労働白書を、健診部門の視点で読み解く|制度改正と業務効率化のポイント

作成者: iD-Heartコラム担当|2026.9.29

令和8年版厚生労働白書の概要

白書の構成

白書は、次の2部で構成されています。

  • 第1部:これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える。現場の実情と課題を整理し、2040年を見据えた方向性を提示

  • 第2部:現下の政策課題への対応。令和7年度の行政報告として、厚生労働省の施策の取組み状況を掲載

第1部が示す現状

第1部では、次のような現状が示されています。

項目 白書の記載 掲載ページ
担い手不足への不安 医療分野74.5%、介護・福祉分野81.3%(「不安を感じる」「やや不安を感じる」の合計) p.2
看護関係職種の有効求人倍率 2.10倍(2025年度。全職業計は1.10倍) p.12
2040年の必要就業者数 医療・介護・福祉分野で約1,070万人。全就業者の18〜20% p.54

看護関係職種の有効求人倍率は、全職業計のおよそ2倍です。限られた人数で業務を続ける工夫は、健診部門にとっても重要なテーマといえます。

テクノロジー活用の目的

白書は、生産性向上の目的を単なる効率化・省力化とはしていません。業務の進め方や役割分担を見直し、生まれた時間や人的資源を直接的なケア・支援に再配分する。それにより、サービスの質と安全性を高め、働きやすい職場をつくる。これが白書の基本的な考え方です(第1部第2章第1節)。

白書は、現場の業務を2つに分けて整理しています。患者・利用者に直接関わる「直接ケア」と、記録・情報共有・調整などの「間接業務」です。効率化の主な対象は、間接業務です。

2026年5月には「健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、医療機関の業務効率化・勤務環境改善の責務が明確化されました(p.80)。計画的に取り組む病院を公的に認定し、対外的に発信できる仕組みの創設も盛り込まれています。業務効率化は、施設ごとの工夫にとどまらず、制度として位置づけられつつあります。

白書から読み解く、健診部門の3つの論点

健診部門に関わる主な動き(2026年)

健診部門に関わる記載を、3つの論点に分けて解説します。各論点の最後には「自施設で確認したいポイント」を置いています。健診部門のご担当者様が、白書の内容を自施設の運用に置きかえて点検する際の目安としてご活用ください。

論点1:一般健診・がん検診の見直し

一般健康診断については、次の見直しが示されています(p.180)。

  • 血清クレアチニン検査の追加などを内容とする、労働安全衛生規則等の改正
  • 標準的な問診票への、女性特有の健康課題に関する質問の追加(改正作業中)
  • この質問で女性特有の健康課題があると回答した労働者への、望ましい対応を示した「健診機関向けマニュアル等」の公表(2026年1月)
  • 口腔保健指導の好事例の展開と、健診の機会を活用した眼底検査の推奨

がん検診については、次の見直しが示されています(p.343〜344)。

  • 国が推奨する肺がん検診からの喀痰細胞診の除外(2026年度以降)
  • がん検診受診率の目標を50%から60%へ引き上げ(2023年3月策定の第4期がん対策推進基本計画)
  • 市町村による、職域等のがん検診を含めた住民の受診状況などの一体的な把握(2026年度から)

検査項目や問診票が変わると、現場では検査コースの設定、問診票の様式、結果報告書の帳票、契約先への案内など、複数の作業が同時に発生します。

▶ 自施設で確認したいポイント:検査コース・問診票・帳票が改正後の内容に対応しているか。契約先への案内の準備ができているか

論点2:間接業務の効率化

前述のとおり、白書は間接業務を効率化し、生まれた時間を直接的なケア・支援に回すことを重視しています。健診部門に置きかえると、予約管理、結果の転記、報告書作成、請求などが間接業務にあたります。これらの効率化は、受診者への説明や保健指導など、人が担うべき業務に時間を回すことにつながります。

一方で白書は、業務負担の軽減に役立つと期待される技術の多くが、医療機関ではまだ導入の限られた段階にあるとしています(p.61)。

受診者側の受け止めも示されています。医療現場へのICT導入に「賛成」「やや賛成」と答えた人は82.6%でした(p.117)。否定的・慎重な回答の理由では、「AIやロボット技術の安全性に不安を感じる」が26.3%で最も多くなっています。新しい仕組みを取り入れる際は、受診者への丁寧な説明もあわせて考えたいところです。

健診システムを提供する立場からの補足
白書が示す医療機関の調査や事例は、規模を病床数で区切っています。ただ、健診部門の規模は、病床数とは必ずしも一致しません。無床のクリニックで多くの受診者を受け入れる施設もあれば、規模の大きな病院で職員健診を中心に行う施設もあります。自施設に当てはめる際は、年間の受診件数や健診の種類をもとにお考えください。

▶ 自施設で確認したいポイント:結果の転記、報告書作成、請求などのうち、どの工程に時間がかかっているか

論点3:健診後のフォロー

第4期がん対策推進基本計画は、精密検査受診率90%を目標に掲げています(p.343)。国は2026年1月に、自治体向けのがん種別の精密検査受診勧奨資材も発行しました。

また、通院しながら働く労働者の割合は40.6%(2022年)です。2026年2月には「治療と就業の両立支援指針」が策定され、2026年4月からは、事業主に対し、治療と仕事の両立を支援する措置の努力義務が課されています(p.177)。

医療DXでは、健康診断の情報を他の医療機関等と共有できる仕組みづくりも進められています(p.263)。白書は、これが切れ目ない、安全で質の高い医療の提供につながるとしています。

▶ 自施設で確認したいポイント:要精密検査となった受診者への案内と、その後の受診状況を把握できているか

テクノアがサポートできること

テクノアは、2001年から総合健診支援システム『iD-Heart』を提供し、全国900施設超でご採用いただいています。

制度改正には、製品の定期的なバージョンアップで対応しています。予約から結果報告書、請求、二次検査のフォローまでを一元管理でき、特定の電子カルテに依存せず院内システムと連携できます。導入から稼働後のサポートまで、テクノアが一貫して担当します。

白書の内容を、自施設の運用に落とし込むために

白書が示す見直しは、検査項目から健診後のフォローまで、健診業務の広い範囲に関わります。どこから取り組むべきかは、年間の受診件数や健診の種類によって異なります。

制度改正への備えや業務の見直しについて、施設様の状況に合わせたご相談を承っています。まずはお気軽にご相談ください。

出典

厚生労働省「令和8年版 厚生労働白書」
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/26/index.html